手作りワーグナーチューバーのミュートを本番で使いました

 以前、ワーグナーチューバーのミュートを手作りした者です(関連記事)。せっかく作ったものの、演奏機会がまるでありません。そもそも、手作りしようと思ったキッカケは、火の鳥1910年版のバンダ。譜面上ミュートの指定はあるものの、「いらないよね?」という曲であることは否めません。結局、使いませんでした。そして、ミュートは押し入れに。

 そのミュートが、晴れて、本番で使用されました!アルプス交響曲で使ってもらったよ!

リヒャルト・シュトラウス「アルプス交響曲」

 「アルプス交響曲」は、ワーグナーチューバのミュート業界では、おそらく一番有名な曲です(どんな業界だよ)。今回は、自分で吹いたわけではなく、団員の知り合いの知り合いの知り合いの知り合いくらいを経由して、「ミュート貸して欲しい」と連絡がありましたので、お貸ししました。

 別に、知り合いの知り合いの知り合いの知り合い経緯で頼まなくても、私、昨年、そのオケ出演してたんだから、直接言ってくれればいいものを、みたいな話なんですけどね。

 せっかくなので、演奏会を聞きに行きました。アルプス交響曲は後半のメインプログラムです。休憩中に、ワグチューをセッティングしに来た人が、舞台にミュートを置いていきました。ああ、私のミュートがちゃんと出演してる(涙)。指揮者に「いらん」って言われなかったか。使ってもらえて感無量。

オーケストラのワーグナーチューバのあたり
そのワグチューの隣に置いてあるのが、ミュートだ
ミュートを指示した図
どこにあるかわからないって?ここだよ、ここ!

 使用するシーンを聞き逃してはいけません。演奏がはじまってからは、ひたすらワグチューを見守ります。 ずっとワグチューを見守ってたというと語弊がありますね。 この曲、ホルン8人のうち後ろの4人がホルンとワグチューを持ち替えで演奏するのですが、8割がたホルンを吹いています (当社体感による) 。

 なんていうか、そもそもの出番が曲全体の30%くらいだとしたら、その30%×20%がワグチューの出番で、さらに30%×20%×10%がワグチューのミュート。ざっくり計算で0.6%くらいしかミュートの出番はありません。曲全体が50分だったとすると、まあ数十秒の出番じゃないでしょうか。簡単にいうと、寝てたら聞き逃します。

 で、ちゃんと起きてた。私、起きてた。曲も中盤に差し掛かり、キターキター、ワグチューミュートの出番だあああああああ。と大興奮。もう、自分の手作りミュートの音がホールでどう聞こえるのか、興味深々の深々なわけです。

 結果:何も聞こえねー

 なんとなーく、そんな気はしてました。が、ほんと、見事に何も聞こえない。「やっぱ、ワグチューミュートっていいよね」なんて、目の前にいるホルンの人でさえ言わない。ミュートがなかったら、逆にワグチューの音が出すぎちゃうのかもしれないんですけど、にしてもね、なんだ、この存在感のなさ。

 ということで、私のワグチューミュートは、役に立ったようです。


 先日、アマチュアワグチュークラスタ(なんだそれ?)で、ワグチューの教則本が話題になりました。サクッと買ってみたんですけど、ミュートについて衝撃的なことが書いてありました。

There are makers that produce Wagner tuba mutes in limited quantities. With luck you might even find a baritone or Euphonium mute that works; however, an ordinary horn mute will not work, it is much too small.

Jhon Ericson “Playing the Wagner Tuba A Handbook for Hornists”

 ユーフォの人に借りればいいんじゃないかあああああああ。

 ワッホイ、ワッホイ。