本物のワーグナーチューバのミュートを参考に、ワーグナーチューバのミュートを手作りしてみた

まず、注意!(2024/10/29追記)
この記事、この先にワーグナーチューバのミュートの手作りの仕方を書いていますが、このブログを楽器屋さんに見せて「これで、大丈夫ですか?」とか、聞かないでください。楽器屋さんもね、困っちゃってますからね。
ところで、わたくし(と、その仲間たち)は、いまや、市販品のミュートを4本持っております。なので、貸してほしいとかありましたら、「お問い合わせ」とかになんか入れてください。もしくは、オーケストラハモンの知り合いがいれば、そのツテでどうにかこうにか連絡してください。無料ではないですが、貸したりしています。っていうか、ワーグナーチューバのミュート持ってるなんて、日本じゃN響かオーケストラハモンだけって言われちゃったよ!
では、本文
マニアのみなさんこんにちは。ワーグナーチューバのミュートを手作りしてみたという、世界人口70億人のうち25人くらいにしか需要がない記事へようこそ。
本物のワーグナーチューバのミュートを酔った勢いでポチッとなしちゃったんですが、あれって1本だけあっても仕方ないんですよね。本物を見ながら、同じ形のものを作れば、だいたいオッケーだろうという心持ちでミュートづくりを開始しました。
が、ミュートってそんなに甘いものじゃなかったのでござるっ!
(↓続編のほうが、使えるミュートができています)
マニアックがすぎるミュートなのだ
ご存じない方のために、ワーグナーチューバのミュートがどのくらいマニアックなものなのか説明しましょう。
「世界がもし100人の村だったら」っぽく、「世界にもし100曲しかなかったら」で考えましょう。
100曲のうち クラシック音楽は10曲です。
※統計が見つからなかったので、数字は適当です。
10曲のうち ホルン吹きが必要な曲は3曲です。
3曲のうち ワーグナーチューバが必要な曲は0.003曲です。
0.003曲のうち ミュートが必要な曲は0.0001曲です。
日本の金利かっ!
存在しないも同然です。わたしはアルプス交響曲と火の鳥(1910年版)で、譜面上の指定を見たことがありますが、ほかに使う曲あるんですかね。そして、この2曲にはワグチューのミュートが輝く美しいソロ!があるわけでもなく、人知れず使われているのです。
アルプス交響曲はファンが多いので聞いたことある人は結構いると思うのですが、ワグチューのミュートに気づいている人は1%もいるのだろうか…と思います。火の鳥なんて舞台裏で演奏するので気づかれるはずがないと思われます。わたしにとっては本物のワグチューのミュートなんて見たことがなく、ツチノコと同等な存在です。
ちなみに楽器店で聞いたところ、お取り寄せで3カ月~5カ月待ちだそうです。店頭でカジュアルに売っていることはない商品です。ですので、アマチュア演奏家ですと、これのために4~5万円(×4本分)かけてお取り寄せする気など起きず、手作りできないのかなーと考え、こういうマニアックなページにたどり着いてしまうのです。
本物のワーグナーチューバミュートを買った
で、まず、本物のワーグナーチューバミュートを買いました。
ドイツの通販サイトっぽいんですけど、見つけちゃったんですよ。PayPal使えば、補償あるしなんとかなるかーとポチってしまいました。酔ってましたね。だって値段は送料入れて297.9ユーロ。1ユーロ120円くらいでお考え下さいませ。キャー。
※ご利用は自己責任でお願いします。
途中「英語の住所教えてください」って英語のメールのやり取りをしたくらいで、大きなトラブルもなく10日くらいで到着しました。あー、でも届いたとき、コルクははがれかけてました。
そうしてこうして、我が家にワーグナーチューバのミュートがやってきました。

ワーグナーチューバのミュートケースを作った
ミュートケース職人のホイコさんですから、新しいミュートを買ったら、まずケースを作るのです。でっかいニンジンを作りました。かわいい。

このミュートケースをどうやって作っているかというと、ペーパークラフトのソフトウェアを使っています。
写真を元に、六角大王(3Dソフト)でモデリングします。(最新のペパクラデザイナーは、別の3Dソフトが同梱されているようです)

ペーパークラフトの展開図を作ります。展開図をケースの型紙にします。

このとき、ふと思ったのです。
このペーパークラフトの型紙を組み立てれば、ミュートになるんじゃね?
100均一の材料で作ってみた
厚紙、リメイクシート、両面テープ、隙間テープを買ってきました。

厚紙を型紙どおりに切ります。

見た目を良くするためにリメイクシートを張りました。

取っ手は手持ちの毛糸で作ったので、オシャレではありません。

のりしろ部にマジックテープを張りました。折りたたんで運べるので持ち歩きに便利。

コルクの代わりに隙間テープを張ります。本物のミュートのコルクは高さ1センチ、長さ29センチです。

見た目はほぼ同等のミュートが完成しました。

吹いてみたら…ぐはっ!(涙)
見た目は問題なさそうですが、楽器なので大事なのは音です。吹いてみましょう。

ぐはっ!
音色がこもるぅぅぅぅぅ。しかも、音程が下がる!えええええ、こんなに違うのぉぉぉぉ。これ、使い物にならないじゃーん。ええええ。ミュートってめっちゃ作るの大変じゃない―。ありえなーい、むりー。
とても残念な結果でした。吹いた瞬間「あ、これ、ダメなヤツ」でした。ここまで読んでくれたみなさん。ごめんなさい。
というわけで、結果は失敗でしたが、いつか手先が器用な方がミュート手作りに成功するかもしれない。そんな思いで型紙のPDFを置いておきます。制作後に再調整したバージョンです。A4用紙に印刷して張り合わせて使ってください。
やっぱり、ミュートというものは4万円してもおかしくない技術がつまっているものなのかもしれません。世界中の作曲家に伝えたい。変な手作り品を使って演奏されたくなかったら、王道の楽器を使いたまえー。
ワッホイ、ワッホイ。