BMI22って、デブだと信じていたころの話

BMI22を想像するホイコさん

 20歳のとき、体重は37キロでした。BMIにすると16。

 当時、それでも痩せているという認識はありませんでした。潜在意識がやせていることを誇っていたのか、付き合っている男性に太っていると言われていたからか、はっきりとした理由は覚えていませんが、もっとやせたほうがいいと感じていました。たしかにBMI16が痩せすぎを表していることは知っていました。けれども、BMI22(≒50キロ)なんて完全にデブの体重だと思っていたし、わたしは身長150センチと統計の端っこにいるのでBMIは自分には当てはまらないと確信していました。

痩せすぎで、自動ドアが開かなくなった

 自分は痩せすぎではないと思い込んだところで、生活には支障が出てきます。21年前の話なので、ちょっと例えが古くなりすが、まず缶ジュースが開けられなくなりました。缶のプルタブを開ける力がなくなってしまったんです。
 次に起きた問題は自動ドアが開かないということ。いまの自動ドアはほとんどが赤外線センサー式で体重には関係ないと思うのですが、当時は静電容量式がまだ多く残っていました。ドア下のマットにセンサーがあるんですね。この形式の自動ドア、体重40キロを切ったとたんに反応しなくなったのです。セブン-イレブンのドアが開かなくて、買い物をあきらめることがたまにありました。

川口リリア事件

 ある日のことでした。川口総合文化センター・リリアホールに行ったときに事件が起きました。リリアホールの入り口って自動ドアが二重になっているんです。ひとつめのドアは普通に開きました。ここの自動ドアはわたしでも開くようです。そこで、ふたつめのドアに近づくと、

 「あ”あ”あ”あ”あ”、開かないっ!!!」

 片方が開かないとかありえない。イライラしながら、そこで飛び跳ねたりしていましたが、びくともしない。こんなことしている間に、さっき通ってきたひとつめのドアは閉まります。ああ、外に戻ろうと、振り返ってさっき通ってきたドアに近づいて、自動ドアを再び開けます。

 「ドアが開かないぃぃぃぃぃぃ!」

 大事件。さっき開いたはずの、ひとつめのドアが開きません。完全にはさまれました。これではホールに入ることも、出ることもできません。これが厄介なことに、人が全然来ない場所でした。リリアホールの自動ドアは、正面に2つ、脇に1つだったかな、なんかいっぱいあるんですけど、たまたま人気のない脇の自動ドアから入ってしまったんです。マジ、だれも来ない。絶望。暗い妄想しか浮かばない。手持ちの飴で一晩過ごすことになっちゃうのぉぉぉ、自動ドアに閉じ込められた女性を救出なんてニュースいやだぁぁぁ。

 5分くらい、その場で跳んだり、うろうろしたり、急に自動ドアに近づいてみたり、思いつくこと全部試しました。開かない、開かない。本当に開かない。そのとき、救世主が現れました。つまり通行人のおっさん。おっさんが自動ドアに近づくと、いらっしゃいませーって感じに普通にドアが開き、おっさん、マジ怪訝そうな顔。こうして無事ニュースになることもなくホールに入ることができたのでした。

BMI22になったら、健康になった

 あれから21年…。太った自覚はまったくなかったのですが、だいぶ太ってしまったようで、現在BMIは22になりました。いぇーい。超標準だぜー。なってみると、“BMI22はちょーデブ”って思っていたのはなんだったのだろうと思います。“太った自覚はない”と書いたように、自分自身体型が変わった気がしていないというか、自分が太っていると感じていません。痩せようが太ろうが、ぷにぷにしてるところはぷにぷにしてる。

 BMI22になって、自覚したのは体形よりも超健康になったこと。疲れにくくなったし、缶とか瓶が開かないこともあまりないし、自動ドアが開かないこともない!めっちゃ暮らしやすいんです。BMIって、美容じゃなくて、健康のための指標だったんだねと、大きな声で主張したい。

 ところで、今日はどうしてこんな話をしたのかといいますと、リリアホールで行われるクラシックの演奏会に出演するからです。自動ドアに挟まれて以来21年間リリアホールに行く機会はありませんでした。ああ懐かしい。演奏会のお知らせはFacebookでお伝えします。あの自動ドアがまだ健在ならばぜひみんなに見てもらいたい。
 ワッホイ、ワッホイ。