デザイン画はなぜ八頭身なのか?自分の体型に合わせて描いてみた

八頭身のデザイン画と現実のデザイン画

 デザイン画の勉強をはじめました。高村 是州さんの『ファッションデザイン画―ビギナーズ超速マスター』はわりと名著で、この本を参考にすればシステマチックに描けるようになります。

 しかし、どうも気になるのが、頭が小さく、身体は細く、八頭身……モデル体型で描くことが業界の常識のように書かれていること。頭が小さいのは洋服を注目させるため。身体が細いのは二次元にするとどうしても太って見えるためと理由があります。かっこよく見えなければ、コンペで採用されることもないので、当然といえば当然です。

 ええと。

 私は思いました。そのやり方では、わたしに似合う服は永久に生産されないのでは……と。

 モデル体型のデザイン画と、自分体型のデザイン画で、どれだけ違うのか……ちょっと試してみました(まだまだ絵は下手ですけど、まあ、見ていってくださいな!)。

ラップワンピースでくらべてみた

 まずは、モデル体型でラップワンピースを描いてみました。1950年代にディオールが流行させたスタイルです。ソーイング・ビーでやっていて気になりました。

ラップワンピース 八頭身
50sラップスタイルのワンピース

  さて、わたしの体形に近い人に着てもらいましょう。まずは、ヌード画を描きます。

デザイン画
大事なところは隠しました

 こんなにウエスト細くないし、腕も長くないとか、いろいろあるのですが、バストポイント(要するに乳首の位置)の落ちっぷりとか、足の短さとか、もう、笑っちゃうくらいよく再現されてます。重力に逆らえてるつもりでしたけど、ちゃんと測るとめちゃくちゃ落ちてるんですね。ああ、f=mc2

 この子に、ラップワンピースを着てもらいます。

現実的な人が着たラップワンピース
ドドーン

 に・あ・う・き・が・し・な・い。

 もちろん、絵の下手さはあるんですけど、それにしても上半身の分厚さと、足の短さが強調されています。たぶん、これは着てはいけないデザイン。この子には、一体なにが似合うんだろう……、と考えてみました。

プリンセスラインのワンピースとか、どうかな?

 年を取ってぽっちゃりした体形の場合、ウエストを強調するのは悪手なようです。つまり、ウエストに切り替えをつけないといいそうです。そして、バストポイントが下がっているのでそこを強調するのもよろしくない気がします。とはいえ、ウエストのくびれはあるので、そこは見せたい……。

 ならば、プリンセスラインのワンピースとか、どうかな? と、描いてみました。

プリンセスラインのワンピ
プリンセスラインのワンピ
着物柄のプリンセスラインワンピ
七五三の着物で作ろうかななんて

 変なところが悪目立ちすることはなさそうです。よっしゃ、これで作ってみるぞー!

七五三の着物でつくってみた

 布は七五三(7歳)で着た着物を使います。当時、めちゃお気に入りでしたが、七五三当日以外着たことはありません。そして、バブルをなめんなってくらい、いい着物のようにも見えます。ハサミをいれるのはもったいないといえばもったいないですが、着ることもないので、ワンピースにしちゃいます。7歳の時の服を、40歳代で着るってなかなか勇気あるー。

 パターンを作って、縫います。ダーツを多く取らず、なるべく脇でウエストをつくるようにしました。

型紙を布に宛てているところ
プリンセスラインはパターンが縦長なので、着物と相性良かった。ラッキー
着物ワンピを縫うところ
ぬいましょー

できたぜ。44歳で着る七五三の着物ワンピース

 じゃじゃーん。

七五三着物ワンピを着たわたし
着物ワンピースだよー
着物ワンピの後ろ姿
後ろ姿

 体形、ごまかせてますーーーー!(笑)既製服を着たときのわたしと比べると、差がわかっていただけるかと思います。いや、ほんと。気がつかないうちにおばちゃんになったなーって思ってたんですよね。気にすることはない、それがお前のアイデンティティーだと言われましても、良く見られたい欲望は捨てられず、服になんとかしてもらいたかったところでした。

既製服を着たわたし
普段着だとこんな

 幸い、マスクが標準な世の中なので、派手な服を着ることへの心理抵抗が弱まっています。今がチャンスですよ。七五三ワンピを着て、ウキウキするんだぜー。


 「オシャレの基本は、サイズが合った服を着ること」とよく言われますが、自分で縫うようになるまで、この言葉の意味がわかりませんでした。で、意味が分かってくると、「そんな服、売ってないじゃん……」ってな結論になります。なぜ、売らないのか。自分の体型に合わせた服を作ってみると「わし、こんなに太ってない」って印象の服ができあがるんですよね。自分を知らなければ、このサイズを買うことはないので、メーカーが作ったとしても、きっと売れないんでしょう。世の中って、むずかしい。

 ワッホイ、ワッホイ。