ビールにアイス入れるとオシャレ!?妄想女子が実証実験
高橋ホイコです。エッセイが書きたくなりました。
ビールにアイスをちょい足しするのがオシャレと小耳に挟みました。
ここはロンドンのバーだとする。黒ベストのバーテンダーが時間をかけて注いだエールビール。グラスを口元に近づければ、酵母が作った甘い香りが漂ってくる。二口目の前に白く甘いアイスを足す。小人舌かななんて思うけど、この味が好き。
ロンドンには仕事で来ている。もう、3カ月。東京に帰るつもりもない。ここで私は必要とされている。気になっているのは、東京に置いてきた金融コンサルの彼。FaceTimeアプリはもう3週間は起ち上げてない。ふとため息をつくも、窓の外に見えるライトアップされたビック・ベンで満足する。
そんくらいにかっこいいじゃないですか!
だから、浸ってみました。
※エッセイが書きたくなったのもあって、今回ブログエッセイ的新ジャンルです。急に妄想入りますが、ツイテキテクダサイ。オネガイ。
サイゼリヤに来た
「どうして、今日はサイゼリヤなの?」
「うーん。その方が緊張しないかなと思って」
今日は、アッくんとの初めての誕生日デート。アッくんは、すっごい慣れてるみたいで、行くとこ行くとこ計算されてた。まずは、六本木ヒルズのジュエリーショップに連れて行かれて、好きな指輪選んでいいよって。もう、それはキラキラした世界。宝石なんて買おうとしたことないから、自分の趣味なんて自分でわからないんだけど、行ったショップは絶対に私が好きって思えるドンピシャなジュエリーが並んでた。そのあとは、ペンギンの上についてるジェットコースターへ。キャーキャー騒いで疲れちゃった。そう、今日はものすごい興奮続きのデートだったの。そこまで作り込んだデートの最後がサイゼリヤ。一体どういうことだ。
どういうことだって、お前がどういうことだって話ですが、これは私の妄想で、今日は一人デートでサイゼリヤに来ています。
ビールにアイスを入れてみたかったんですけど、本当はタリーズコーヒーの薄暗い片隅で一人しめやかに実施したかったんですけど、ビールなくて、ビールがあるのはプロントだろと行ったらアイスがなくて、結局たどり着いたのがサイゼリヤでした。
半径3メートル以内には近づきがたいオーラを出しまくりながら、これが最先端のオシャレと言わんばかりにビールにアイス入れようとしてたのに、結局、至近距離には受験勉強を名目にサイゼリヤでだべり続ける高校生カップル。
頭良さそうな男子が「そんくらいわかるっしょw」とか言いつつ、女子が「ああああーわかんないー!」って叫んでる。あれ、実際のところ、男のプライドを傷つけないように女がわからなーいとか言ってるだけで、受験終わったら意外と女子のがいい大学受かってて、いい大学でもっといい男子見つけちゃって、ふられるな。残念。とか、考えながら、ビールとアイスを注文しました。
黒いビールが良かったんだけど、仕方ない。とりま乾杯。
ビールを一口飲んでから、アイスを入れてみた。
カッコつけてやってたはずなんですけど。なんでだろう。
高校生に見つからないように、こっそりとアイスを入れてた。
「昨日の隣の人、変わってなかった?」とかネタにされたくない。
それにしても、これ、
オシャレ・・・だろうか?
サイゼリアのアイスは、普通のアイスより乳成分の舌触りはないのにミルクの香りは強い不思議なアイス。アイスだけ食べれば、結構甘い。
ほろ苦いビールに入れたら、甘みがふんわり。
ってことなくて、ただ、苦い。
アイスを入れたビールは、アイスの味もしない。ビールの香りもなくなる。
ただ、苦い。
おい、こら。
ビールにアイスがオシャレとか、ウワサ流したヤツ出てこい。(一緒に飲もう。)
苦さが記憶を呼び戻す
酔っぱらってきたかな。
どうでもよくなってきて、残りのアイスをどーんとビールに入れてしまった。
クリームソーダを思い出す。
私は小学生の時「料理クラブ」に入っていた。
次のクラブ活動で何を作るか、みんなで決めるのだ。給食を食べた後の活動となるため、案が出るのはお菓子ばかり。
プリン、ホットケーキ、マドレーヌ、クレープ、、、
案が出るたびにある部員が手を挙げて言うのです。
「私、卵アレルギーだから、無理でーす。」
もう、マジ、決まらない。小学生が思いつくデザートメニューで卵使わないものとか、世界のどこにも存在してないんじゃってくらいに思いつかない。
結果、決まったのが。
クリームソーダ
小学生が作るクリームソーダですからね。ソーダは透明色ですよ。三ツ矢サイダー買ってきただけですよ。緑色してませんよ。
三ツ矢サイダーをコップに入れて。ってコップもオシャレなグラスとかないんです。家庭科室にあるやつ。サイゼリアのドリンクバーに置いてありそうなコップ。そう、まさに、コレ。
その三ツ矢サイダーに、アイス入れただけのクリームソーダ。
「別々に食べた方が、おいしくない?」
ああ、思い出す。このビールを口に含むたびに思い出す。三ツ矢サイダーにアイスクリームを入れることになったあの理不尽。クラブ活動時間が30分以上余ってやることないのに帰れなかったあの日。
そう、アイスビールは理不尽の象徴。
ラスト泡、おいしいかも?
理不尽だったクリームソーダを思い出しながら、キャベツ炒めを肴にチビチビと飲みすすめていく。ふと、グラスをのぞいてみると、大量にできた泡がまるで減ってない。もう10分は経ったと思うのに。
なんとなく泡をスプーンですくって、口に含ませた。
あれ、おいしい。
甘みのあるアイスに、じゅわっとした刺激、舌に残るほろ苦さ。クリームソーダの恨みを思い出していたら、現実の今は幸せだってことを思い出せたみたい。小学生の時には感じられなかったら苦みも、今ならおいしいものとして感じることができる。本能のままに生きられてないのかもしれない。けれども、幸せに感じられることは増えている。
しかし、最後の一口は、やっぱり激マズだった。
ああ、帰って、おいしいトンカツでも食べよ。
ワッホイ、ワッホイ。