最初にカレーライスを食べた日本人は誰なのか!?

丁髷とライスカレー表紙

 高橋ホイコです。クックパッドレシピのカレーが私史上No.1カレーです。
 今回は書評ということで、「丁髷とらいすかれい」という本を紹介します。ええと、この本、古本屋で200円で買いました。Amazon見たら中古が700円なのでせどれる本のようです。
 「初めてカレーライスを食べた日本人は誰なのか」をきっかけに、カレーライスの歴史を調べ尽くした本です。その後、どうやってカレー粉が日本に持ち込まれたのか、カレーライスを普及させたのは誰か、なぜインドカレーとは異なるカレーライスができたのか。そういったことが調べ尽くされています。思いがけない文献にカレーを見つけたときの著者の感動もそのまま伝わってきます。シャーロックホームズにカレーとか。
 カレーを調べていくと、あらゆる歴史上の出来事とつながっていくのです。居酒屋の小鉢1つで社会がわかると言いますが、正にカレーライスで世界史がわかるのです。

一番最初にカレーを食べた日本人は?

八ッ場ダムカレー
 この本を読んで、この問いの答えを知った時、ものすごく感動したのです。「へえええ。そうだったんだあと。」この面白い話をたくさんの人に話したくなって、WikiPediaに書こうと思ったのです。
 既に、書いてありました。
 大河ドラマ「八重の桜」にも登場した「山川健次郎」という人物。会津藩として戊辰戦争で籠城する会津城にいた人物なのです。
 歴史に詳しくない私は、会津藩って新政府に負けて血が途絶えたのかと漠然と思っていたのですが、八重の桜見てたら、八重さん大学作っちゃてたし、活躍されてるんですよね。この健次郎君も賢かったのでしょう。その後勉強して、国費でアメリカのイェール大学に留学し、物理学を学ぶそうです。籠城戦のわずか3年後、アメリカに行く船の中でカレーライスを食べたらしい。ちなみに、この方、日本で初めての物理学教授になる人物なのです。
 しかも、どうしてカレーライスを食べたかというと、おいしそうだからなんて理由じゃない。当時の日本人はなかなか西洋料理が食べられない。変なにおいがすると感じたらしい。船の長旅で何も食べないわけにはいかないと挑戦したのがカレーライス。理由は「ご飯だったから。」と、それだけ。なので、「上につけるゴテゴテしたもの」は、ほぼ手を付けず、もっぱらご飯を食べていたらしい。

 この本では、そのほか、初めてカレースパイスを見た日本人、初めてカレーライスを見た日本人の話も書いてあります。彼らがどうしてそのような異国の地に旅立っていったかを考えると、正に歴史とつながっているのです。

どうして、カレーは洋食屋の定番なの?

 この本は、この疑問にも答えてくれます。話は東インド会社にまで飛びます。イギリスが東インド会社を設立、ここで支配階層にいたヘイスティングがガラムマサラ、マサラペーストをイギリスに持ち帰り、英国女王に献上、かなり気に入られたらしい。そして、その後イギリスのスープの仕立て屋がC&Bカレー粉を作るそう。このカレー粉が日本にイギリスからやってくるのです。なので、最初にカレーが日本に登場したときは、正に西洋料理の一つとして入ってくるのです。
 このカレー粉、当時の日本人にはさっぱり中身がわからなかったそうです。カレー粉の缶には「東洋の神秘的な方法によって製造された」とかだけ書いてあるらしい。日本人は、そりゃ、こっちが東洋だけどwって、思いますよね。
 このカレー粉をなんとか自前で作りたいと考えたのが山崎峯次郎。しかし、どうしても材料がわからない。一度はインドに住んだことがあるという老人からスパイスを入手するも、それが何だかわからないまま、関東大震災で焼けてしまう。漢方薬に目をつけ、70種類もの漢方薬を集めたりもした。そして、ウイキョウ(フェンネル)、ウコン(ターメリック)というカレーに大事なスパイスと出会い、さらに研究を尽くして、本場イギリスのカレー粉をもしのぐカレー粉を作り上げるのです。
 で、この山崎峯次郎というかたは、ヱスビー食品の創業者だそうです。

どうして、タマネギ、ニンジン、ジャガイモが定番なの?

手作りカレー
 この答えも、この本の中に書いてあります。この話には、クラーク博士が登場します。北海道と言えばタマネギ、ニンジン、ジャガイモ。カレーといえば、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ。これは偶然ではなく、札幌農学校に縁があるのです。この話、本書には詳しく書いてあります。
 このほかにも、ハヤシライスの起源や、新宿中村屋カレーとガンジーのつながり、関西のカレーはウスターソースをかけるその起源、驚く話がいっぱいです。池袋にできた巨大な丸善の文具店でハヤシライスが食べられるそうですが、この本を読んでたら、このハヤシライス絶対食べたくなるはず。丸善とハヤシライスには深いつながりがあるのです。

ラーメン本もあるらしい

 この本の著者の他の著書はというと「ラーメン伝説、あるいはラーメンの噂」という本らしい。これは、「日本で最初にラーメンを食べたのは誰だ?」というテーマの本。「水戸黄門からヤキソバンまで」と宣伝文句が書いていある。最初にラーメンを食べたのは水戸黄門だから、水戸黄門の誕生日7月11日をラーメンの日にしたそうですが、果たして、この本でもラーメンを最初に食べたのは水戸黄門と書いてあるのか!
 気になって、昨日、ポチったところです。届くのが楽しみだ。
 ワッホイ。ワッホイ。