X68000のラズパイケースをレビュー!すっごーい。なにこの再現度。

X68000ラズパイケース

 我が家にはX68000XVIがあります。1991年に発売されたSHARP製のパソコンで、父が高校入学のお祝いとして買ってくれました。これが人生初めての“自分の”パソコンでした。音楽を打ち込んだり、動かすたびに蛇が長くなるゲームのサンプルコードを打ち込んだり、AUTOEXEC.BATでやたらと凝ったメニューをつくったり…意味が分からないかもしれませんが、これが私の青春でした。誰にとっても高校生のころの思い出って大事なものじゃないですか。だから、かけがいのない思い出を感じさせてくれるX68000とは一生ともに生きていきたいのです。

X68000XVI
筆者の愛機 X68000XVI

 けれどもX68000はパソコンです。寿命があります。10年前くらいのことでしょうか。その時点で購入からすでに20年たっているわけで、不具合も出てきます。モニターの文字が二重に映るようになりました。ダメ元でSHARPに修理できないか電話してみたんです。コールセンターの男性がこう答えました。

 「当社でデスクトップパソコンを販売したことはありません。」

 ごらあああああああああああああああああ。うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお。

 おぬしの会社の歴史なら、あたしのほうがよっぽど知ってるぞ。教えてやろうじゃないか。このX68000というのはSHARPの歴史を語るにはなくてはならない存在。どれだけ歴史的なパソコンだったか知らぬのかああああああああ。20世紀のパソコンだけども、テレビが見れるんだぞ。テレビのキャプチャを取ってパソコンに取り込むのだって余裕なんだ。なんなら、キーボードとかプログラムからテレビの制御もできちゃう。けれども、普通のリモコンもついてるんだからな。いきなり電源切っても壊れないんだぞおおおお。21世紀のパソコンなんてそんなことできてねーじゃねえかあああああ。

X68000起動画面
購入から30年。いまも一応は動いている

 取り乱しました。つまり壊れても正式ルートではもう直せないのです。5年ほど前に電源が壊れてしまって、今では延命装置のように外部ATX電源につながれなんとか生きながらえています。キーボードを押せばキーが戻ってこずに「qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq」と画面に表示される程度にそろそろヤバい。あと何年一緒に生きることができるのでしょうか。

 そんなとき現れた。RaspberryPiのX68000XVIケース。

 素晴らしいじゃないですか。死んだ飼い犬のぬいぐるみを手元に置いておくようなもんですよ。また、こうしてともに生きて、新しい思い出を作ることができるじゃないですか。

 前置きが長くなりましたが、このX68000XVIのラズパイケースの再現度が高くて感動しました。その話をします。

X68000XVIって美しい

 まだまだX68000の思い出トークを続けさせてください。

 X68000 XVIの外観は衝撃的でした。あ、ちなみにXVIは“エクシビー”と読みます。X68000はモトローラのCPUを使っていて(インテルじゃなくて、モトローラなんだ!って話だけでも飯3杯いける)、クロック周波数が”16MHz”であることにちなみXVIと名付けられました。ラズパイケースを買うときに「エクシビーありますかー?」とさらっと聞けた自分に酔いましたね。これが読めるだけで「私は間違えなくX68000のファンです。」って主張できてるみたいで。

X68000XVI筐体
はぁ、やっぱりカッコイイ

 うーん。今日は私がX68000好きすぎて、話が脱線しまくる。話を“外観”に戻しましょう。

 “黒の統一美”と称されたブラックボディーが、めちゃくちゃカッコよかったんです。当時、パソコンといえば灰色(FM-TONWSとか初代X68000とか)かクリーム色(NECのPC98とか)でした。そこに登場したこの“黒”。最新感っていうか、都会感というか、“この機械でいったい何ができるようになるんだろう…”というワクワクがありました。

 “マンハッタンツインタワー”と呼ばれるデザインもかっこいい。二つのタワーがそびえたつこの形、まったくもって非効率です。細かい配置は忘れましたが、タワーの片方に電源とか入っていて反対側にフロッピードライブとか入っているわけで、タワー間の部品をつなぐケーブルが、タワーの足元のせまいスペースを通ります。組み立てるのも大変だし、まったくもって非効率なわけです。

 けれども、この無駄が美しい。

 デザイナーズマンションとかで、どうやって交換するんだってくらいに高いところに設置された電球くらいに美しい。実用性を横に置いてまでこだわったデザインのパソコンなんて、もう古今東西出てこないと思うんです。

ラズパイケースを買ってきたよ

 そんなわけで、X68000XVIのラズパイケースを買ってきました。

X68000ラズパイケースパッケージ
買ってきました

 説明書は青と白の表紙。X68000の本体説明書もこんなデザインだったような…。

説明書
本家X68000の本体説明書もこんなだったような気がしません?

 で、プラモデルでした。これ、自分で組み立てるんですね。ちなみに私はプラモデルなんて作ったことありません。

ラズパイケース中身
中身はプラモデルでした

プラモデルを組み立てる

X68000プラモデル全体
パーツ少ないしなんとかなるかな…と、あまく考えてた

 ちょー適当に、その辺に落ちてたペンチでパキパキやりはじめたら、ガンプラ好きの家族が飛んできました。プラモデルって適当にパキパキやっちゃいけないんだってー。

適当なペンチで切る
適当なペンチで切ってたら、ガンプラ好きの家族が飛んできた

 「このペンチで切りたまえ。ギリギリで切ってはあかんぞ。」

プラモデル用のペンチ
道具って大事ですよね

 と言われました。部品のギリギリに切ると切ったところが汚くなるんだとか…。なにも知らずに「パキパキやって組み立てるだけだろ」と考えていたのが甘かったらしい…。

 「今度はこのナイフでキレイにしたまえ」

 ペンチ2種類、棒やすりに、ナイフといろんなものを使って出っ張った部分を平らにしていきます。ヤバい…むっちゃ工程ある…。ってかプラモデルってこんなに道具が必要なのか…。

プラモデル用ペンチ
2番目に出てきたペンチっぽいもの
棒やすり
さらに棒やすりでけずる
ナイフ
で、またさらにナイフで処理
ナイフを使っているところ
こりこり…

 「やすりで表面を削るのだ。ボコッとしてるところがあるだろう。そこを平らにするのだ」

 やすり3種類、コンパウンド…磨きに磨く…。想定外にやること多い。

紙やすり
やすりで削ります まずは粗いやつで
粗いやすりで削ったところ
ざらざらになって不安になる
コンパンドをつけたところ
コンパンドでも磨くよ

 電源ボタン部に青いアクリルを差し込み

電源ボタンをつけた
電源用のアクリルも同梱されています

 “水転写デカール”を張る。

正面のデカール
X68000のロゴ、かっけー
側面のデカール
シールみたいなものでロゴを入れます

 できたー!

X68000ラズパイケース
完成!

すごーい!再現度高い―!

 完成しました。本物のX68000と比較して、どれくらい再現度が高いのか見ていきましょう。

 側面に「POWER TO MAKE YOUR DREAM COME TRUE」を張るときが一番の感動でした。もちろん、これは実物にも書かれています。

ラズパイケース側面
ラズパイケース 細かいですがちゃんと書いてあります
側面のロゴ
本物。この言葉を座右の銘にしたいと思ったあの頃 意味はわからない

 電源ボタンの青。右側はボリューム、キーボード、マウスの端子、左側は音声出力とジョイスティックの端子です。

ラズパイケース 電源
ここが青いのがいいよねー
X68000電源ボタン付近
青い電源ボタンの左右にコネクタ

 X68000のロゴ…。シール貼るとき「こんな黄色だったっけ?」と思いましたが、実物はゴールドでした。

ラズパイケースのロゴ
だいたいあってる
X68000本物のロゴ
ゴールドという高級感

 本物のモニターの横に置いたら、もぅ、かわいいぃぃぃぃぃ。

全体像
CRT右にラズパイ、棚の下段にX68000

 ちなみに、RaspberryPiを入れると、上面にUSB・LANのコネクタ、裏側にHDMI・音声・電源のコネクタ、下にSDカードの出し入れ口が来ます。

ラズパイケース、上から
上面にUSBとLAN
ラズパイケース 裏側
背面にはHDMIなど

RaspberryPiを入れてみる

 さて、ケースのなかにRaspberryPiを入れてみたときの話をしましょう。

 なかなか入らなかったので、ちょっと力をいれて押し込みました。入ったー!電源入れてみよー!あれ、起動しないぞ?

ケースに押し込むところ
ぎゅううううう

 SDカード折ってたああああああああああ。

折れたSDカード
あ、SDカード折れてる…

 ケースにラズパイをはめるときはSDカードは外してから入れよう。組み立てたあとで出し入れできるからねっ。あとバックアップも大事だよ。
 ワッホイ、ワッホイ。