読書いらず!架空の本で読書感想文を書いてみた

読書中のトマトマン

 高橋ホイコです。読書クラブでの愛読書はJR時刻表でした。
 夏休み前になると「読書感想文の書き方のコツ」というツイートがじゃんじゃんに流れてきます。みんな悩んでいるんだな。私も悩んだもん。と思いつつ、その「読書感想文の書き方のコツ」を見ていると、なるほどなーと思うものです。

 このノウハウがあれば書ける。

 読書しなくても!

 読書しなくて書ける夢のような感想文。「悪魔の読書感想文の書き方」をまとめました。

タイトルは堅く、社会問題がテーマの本を選べ

 読書感想文を書こうとするときに、まずすることは「本の選定」です。
 この時点で悩ましい。なぜって先生が気に入る本を選ばなくちゃいけない。先生が生徒に読ませたいと思う本ベスト10から選ばなくちゃいけないけど、そのランキングは公表されてないわけで、公表されていたとしても、小難しい本ばかり。「ブッとび!侍・ハートフル戦争!」「胸きゅん☆まじかるオトメ」なんて軽いタイトルの本を選んでしまうと、もう、そのタイトルだけで減点されちゃうのだ。なのに、なのに、「自分が興味を持ったから」という理由で本を選ばなくてはならないという理不尽なっ!
本を選ぶトマトマン
 というわけで、今回は架空の本なので、適当にでっちあげます。社会的なテーマを取り扱っているものがいいでしょう。

 ホイコさんが選んだのは「老人とアパート」という本。

 今の日本社会で学校が子どもに考えさせたいことといったら「少子高齢社会」「女性の活躍」辺りが定番です。何故って大人でも確固たる答えを持ってない問題なので、子どもが答え見つけてくれたらラッキーなのです。君たちが答えを考えてくれるなら、その問題先送りにさえてもらうわー、的な。なので、今回は高齢社会に対する問題提起を含みそうな本をチョイスします。さらに、ヘミングウェイの「老人と海」を彷彿とさせるタイトルで、少し文学的なにおいも醸し出しておきます。

 というか、何にしようかと考えながら寝たら、夢で見たんですよ。

アパートでめんどくさい住民たちの面倒をかいがいしく見ていた住み込みの管理人さんがどんどん老いていく。老いを理由に管理人を辞めようとするも、管理人の後任は見つからない、辞めた後の自分の生活の目処も立たない。そんな管理人さんの悩みに主人公が気づき、助け、時には助けられ、二人は絆を深めていく。

というストーリー。

 夢ありがとう。この話で感想文を書くことにする。

夢メモ
 この話、夢を見た直後、半分寝ている状態でメモっておいたのです。なんだか、「高圧電線から守る」とも書いてあるのですが、この下りは一切記憶にありません。何だったんだろう。

本を選んだきっかけは、権威者を使え

 感想文の冒頭に「本を読んだきっかけ」を書くのは定番パターン。これが「夢に見た」と書く訳にも行かないのです。ここは、権威者に出て来てもらいましょう。

「何かのコラムで金田一先生が勧めていたから。」

 がいいと思います。学校の先生も権威には弱い。テレビで言っていたとかすると、番組名を質問された際に疑われてしまうので、「何かのコラム」というどこに書いてあったか詳細がわからなくなっても不思議ではないものにしておきましょう。
金田一先生のコラム

海外の小説ってことにしとけ

 気をつけなくてはいけないのが、先生に「何で自分はこの本を知らないのかしら?」と思わせないこと。今どきはGoogleで調べられたら終了です。Googleで検索されても終了しないように、ネットで出てこなくても不思議に思わない作家にしましょう。間違っても有名作家の名前を出してはいけません。作家は思い切った国外がいいと思います。中央アジア辺りなら多分マイナーなので、トルクメニスタンの作家「アルマティ・ゲリディコフ」ということにしましょう。
アルマティ・ゲリディコフの検索画面
 トルクメニスタンという遠い異国の話なのに、自分にも身近に感じられたというのも、なかなかいい感想になるかと思います。

疑問に感じたシーンを作れ

 読書感想文には「疑問に思ったこと」を書くといいそうです。「主人公は○○の場面で○○したけど、僕なら○○する。」みたいな異論があればとても書きやすくなります。読書感想文は「自分の意見」を強く求めるものです。これが本の作者の意見に賛同するだけでは弱いのです。とにかく反論したいのです。

 ならば、反論できるシーンを作りましょう。

 よくわからないけど、せっかくメモが残っているので「高圧電線から守る」シーンで考えてみましょう。

 管理人さんはおばあちゃんなので、ボケてしまいました。ある日徘徊して、高圧電線の前で呆然と立っていました。
 主人公は助けなくてはと思うものの勇気が出ず、高圧電線へと近づく管理人さんの背中を呆然と眺めるだけになってしまいました。

 「自分の命を捨ててでも人を助けるべき」なのか、「自分の命を守ることを優先すべき」なのか、正解のない問題です。しかしながら、主人公にチキンな方の行動をさせることで、自分は「自分の命を捨ててでも助けるべき」という勇者選択肢を取ることができます。誰もが真っ向から反対しにくい正論を掲げる方が強いです。

感動したシーンを作れ

 感動したことを感想文に盛り込むことも重要です。感動と言うのは、感情が動いたってことなので「うれしい」「楽しい」「悲しい」「悔しい」「頭にきた」など何でもよいのですが、あまりネガティブな感情を作文に書くことはお勧めしません。ネガティブな感想は読んでいる人の心もネガティブにしてしまうので、先生の印象も悪くなります。

 そうなると、ちょうどいいのは「共感」「感謝」です。大人が子どもに持ってほしい心持と言えば「感謝」の心なわけです。主人公が何かに向けて感謝の気持ちを持ち、そこに共感する(僕もそう思う)。という展開が望ましいです。
 しかも、感謝の対象というのは本来、自然の恵み全てに感謝すべきなのですが、感想文の場合で喜ばれるのは人への感謝。特に目上の人への感謝です。親に感謝するなど、抜群に受けがいい題材です。

 では、そのようなストーリーを考えましょう。

 感謝ストーリーで、よくある話というのは「こんなに自分のことを思っていてくれたんだ。」と後から気づく展開です。例えば、親は芸能人になった自分のこと嫌ってたと思ってたのに、実は自分が出た雑誌全部スクラップしてた。なんて良くテレビで見ますね。そういうのを作りましょう。

 高圧電線で亡くなってしまった管理人さん。遺品を主人公が片づけていると、ある物を見つけます。それは、自分が母親と喧嘩した時に、勢いで捨ててしまった手袋。母さんが夜なべをして編んでくれたやつでした。管理人さんは、ゴミ袋にその手袋があることに気づいて、取っておいてくれたようです。いつか、母親の愛を主人公が理解したときにこの手袋を返してあげようと思ったのでしょうか。

 いいねー。

 感動シーンができました。

完成した読書感想文

「老人とアパート」を読んで      高橋ホイコ

 感動した。

 この本と出会えたのは金田一先生のおかげだ。母が読んでいた冊子のコラムにこの本のことが書いてあった。トルクメニスタンと遠く離れた国の話だが、今の日本に通じるものがある。だから、若い人にも読んでもらいたいとあった。

 この本の舞台は古びたアパート。住民たちはルールを守らない人も多く、ゴミは散乱、壁は落書きだらけ。それを一人黙々と片づけ、掃除をする管理人がいた。その管理人に忍び寄る老い。その管理人とアパートに住む主人公との絆が徐々に深まっていく物語だった。遠く離れた国でも、今の僕たちが住む日本と同じ問題を抱えていることに驚いた。

 認知症の高齢者に対する課題は日本でも抱えている。この管理人もやがて老いて徘徊を始めてしまう。徘徊した管理人は、立入禁止の高圧電線エリアに入っていってしまうのだ。主人公は助けようとするも、助けようとして誤って高圧電線に触れれば自分の命が危ない。助けるべきか悩んだあげく、彼は助けられなかった。そうして一生悩み続けることになる。何故、彼は助けにいけなかったのか。僕なら絶対に助けたいと思った。

 何故、そう思ったか。それは、僕は管理人が主人公をどれだけ大切に思っていたか知っていたからかもしれない。主人公は管理人の死後にその思いに気づくのだ。主人公が些細な行き違いから捨ててしまった大切な手袋を、管理人はゴミ袋から見つけだし取っておいてくれている。遺品でこの手袋を見つけたとき初めて、主人公は管理人の愛に気づくのだ。死んでから気づくなんてもったいない。僕は毎日のひとつひとつの人間関係をもっと大事にして生きていこうと思う。

2時間で書けた

 本当に架空の読書感想文が書けるのか不安な状態で書き始めましたが、やってみたら2時間で書けました。
 実は知人に中学生の頃架空の読書感想文書いたって人がいて、ずっと書いてみたいなとは思っていたんです。こうやって書いてみると、読書感想文に求められているものが本当の本を読んで書くよりも分析できるような気がしました。なんて言うか、私の解説は、本当に思ったことを書くと怒られる反省文みたいになってしまいましたが。おそらく、実際の学校現場ではもう少し自由なんだと思います。

 書くだけなら練習になるからいいけど、良い子はこれで提出しないでね。
 悪魔の感想文だからね。あくまでも。
 ワッホイ。ワッホイ。

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