利島でサイクリングしてきた

写真がないガイドブックが欲しいのです。先に写真を見てしまうと、行く楽しみが薄れてしまう気がしています。小説のような文章だけとか、風景を描いたクラシック音楽だけとか、少ない情報からその地域の情景や匂いを想像し、それから、本当の風景を見たい。文字だけで情景を伝えるのは、そうとうの文章力が必要なのでしょうが、チャレンジしたいと思います。

利島ってどこ?

利島はココデスTシャツ

いきなり、写真で説明・・・(-_-;)。伊豆諸島で大島の次に東京に近い島です。とても小さい島で人口は300人くらい。

島中に椿が植えてあります。10年くらい前から、イルカが島に住み着いたそうで、ドルフィンスイムもできる島です。

大型客船の椅子席は眠れるのか

出発の1カ月前、急に夏休みをいただけることになりました。9月というハイシーズンと重なることも手伝って、大型客船は2等の椅子席しか予約できませんでした。

椅子席は寝られないとは聞いていましたが、それは気分の問題ではないと考え、なんとかなりそうな気がしていたのです。

船に乗ってみると、椅子はとても座り心地もよく快適です。女子は、女子で席を固めてくれるようで、周囲はうら若き女子だらけでした。いい匂いだった。

「これは、快適じゃないか。」と思ったのですが、「さあ、寝よう。」と思うと、違うんですよ。人間工学的にこの椅子は、寝るためにできてないんです。「マンガ喫茶の椅子をもう少し見習えや!」って思うほどに違う。頭の位置は落ち着かないし、リクライニングも中途半端だし。

足が届かない説明

後に、島で出会った学生くんにこの件を話しました。大型客船って、帰りはお昼の運行なんですね。お昼だと、確かにゴロ寝より椅子だね。あー、お昼なら、あれ、いいよね。帰り用なんだね。と、納得したのでありました。帰り椅子席にしたら、しごく快適でござった。

結論:椅子席は眠れない
※若者は寝ている。睡眠力の違いか。

島到着~民宿山中荘

午前7時。まずは、予約しておいた民宿を目指します。

なぜ先に民宿なのか。それは、宿を予約したときの電話での話。

「9月6日と7日、宿泊したいのですが」
「どうぞ。おいでください。お名前は?」
「タカハシです。」
「タカハシさんねー。(ガチャン)」

という勢いだったんですよ。もう、予約取れているのか不安じゃないですか。ここに来て宿なかったら、「田舎に泊まろう」みたいに、民家を直撃して交渉しないといけないじゃないですか。

この島の集落は、急坂の中に発達しています。民宿も坂のまっただ中にありました。
宿を切り盛りしているのは、80歳くらいのおばあちゃん。宿の階段を上るのも「山登りよりつらいわー。」なんて言ってるけど、登る姿を人に見られたくないというのがいじらしい。足は弱くても、話し方はとてもしっかりしていて、とても楽しく話のできるおばあちゃんです。結局、予約が取れてたのか、なんだかよくわからなかったけど、部屋は空いているようで、「どこが空いてるかわからないから、好きなところ使ってー」という自由な経営。とりあえず、寝る場所は確保できました。

結論:なんともおおらか

南ヶ山園地からの景観

島周回道路を西から回ってみます。芝浦でゲットしたパンフレットには、この南ヶ山園地から三宅島、御蔵島、新島、式根島などの島々が見える風景は、新東京百景にも選ばれているすばらしい景観なのだと書かれています。参考「南ヶ山園地(東海汽船ホームページ)

この周回道路。とにかく、登り坂です。斜度はそこまできつくなく、ひ弱な私でも、「忍法蛇行の術」でなんとか登れるのですが、とにかく坂しかない。船を降りてから、園地につくまで1時間30分登り坂しか見なかった。車の通りは少なく30分に1台くらい。走るのに気にしなくていいけど、トラブルの際には助けを求められる安心仕様。でも、登り坂。むむー。

どんなに素晴らしい新東京百景かと、想像を膨らましながら、登り坂を走り、時に押し歩き、さらに歩き。困難を乗り越え、到着し、臨んだ眺望!
木が生い茂り、三宅島のてっぺんくらいしか見えない。あたしの背が低いせいか。いや、たぶん違う。

結論:パンフレットに書いてあることを期待するな。
※園地の少し上の展望台からは見えるようです。

この島一番のサイクリングスポット

南ヶ山園地で頂点だと思うじゃないですか。違うんですよ。この後も、まだ、登りなんです。

登山道南入口から、割と急な登り坂です。薄暗い森に囲まれたような道。鳥が鳴き、セミが鳴き、蝶が舞い、トカゲが路端を走ります。この島は本当に登り坂しかないんじゃないか。どこまで行っても登り坂なだまし絵みたいな構造の島なんじゃないか。と疑いはじめたそのとき、視界がパパーンと開けます。少し斜度が落ちて、明るくなった右の視界には、うーーーーみーーーー!!。森の中走ってたから忘れてたけど。海です。海。ここは島でした。この場所が本当に気持ちいい!両斜面には椿が植えてありましたので、花の咲く季節はさぞかし気持ちいいと思います。そして、ここからようやく下り坂となります。下り坂はいつも怖くて苦手なんだけども、今日だけはヒャッハー。

結論:絶景スポットは登り坂の先

ウスイゴウ園地

少し下ったところにウスイゴウ園地があります。パンフレットの写真を見ると、これまた美しい池。水の色が青く透明で神秘的。が、行ってみたら、ただの池やん・・・。水、緑黒いやん。蓮は確かに咲いてるけど、観光スポットオーラ出てないやん。宿で知り合った学生くんも、池がどこにあるか当初気づかなかったと言ってました。オーラがないんです。ほんと。

村役場の人が東海汽船に頼まれるわけですよ。「伊豆諸島のパンフレット作るからさー、6つくらいスポット送ってー」
村役場の人は「うちの島、なんかスポットある?椿だな。椿。あとは、ないなー。うーん。別になんもないしなー。椿ばっかで風景に変化ないしなー。うーん。あの池どう?パッとしないけど、まあ、あれでいいかー」そんなくらいじゃないかと想像。観光に力入れる気なし。

池の前に見晴らし台があって、どーんと海が眺められます。たぶん、日の出見る用なんじゃないでしょうか。

結論:そもそも、島の人が観光客に来てもらおうと思ってない

宮塚山登山

ここで、昼食用のパンを宿に置いてきたのを思い出したのと、水が尽きたので、1回戻り、体制を整えてから、再度出陣です。登山道東入口に自転車を置いて、登りはじめます。

通りかかった地元の人に、どのくらい時間かかるか聞いたのですがね。

「行ったことないから、わからない。」

島の人、行かないんだ。という衝撃。結局、2時間くらいで登って降りて来れました。

東側から登ると、えーと、ずっと、急な階段みたいになってる山道です。膝が疲れる。疲れる。50m進むごとに休んで。ここまで自転車も登り坂ばかり。山は急。どんだけ、ストイックなんですか。この島。

風景は入り口の看板にも書いてありましたが、見晴らしが良いのは頂上付近の展望台だけです。ずっと森の中を歩くだけ。蜘蛛の巣がすごくて、何回も顔にぶぁああっと蜘蛛の巣が。

たまに疲れて階段に座っていると、必死に歩いているときには気づかなかった鳥の声、虫の声に気づくものです。たくさんのメジロが「どーしたのー?」って寄ってきてくれました。立ち止まってみるのもいいものです。

展望台につくと、そこには大きなヤグラが立ててありました。そこに登ると、集落から利島港が全眺できます。ちょうど登ったのが大型客船の出航の時間で、かなり高いところから、船が出発していく様子が見えました。ここに展望台を作ってくれて、本当にありがとう。これがなかったら、結構さみしかったよ!

山頂も行ってみました。ここが山頂というポールは見えましたが、草がすごくて、近づけない・・・。本当に、人来ないのね。

南入口目指して下山します。こちらのが長距離な分、道はなだらか。ですが、草が生い茂ってて道がわからない!蜘蛛の巣も毛虫も凄い。「登山道からはずれないでください。」なんて看板立ってるけど、どこが登山道かわからないじゃないか。

「これが、あの有名なオオモミジ」なんて看板も出てるけど、どれがモミジだかわからない。

結論:手つかずの自然より、ちょっと手がついた自然のが便利

はしけと海の歴史広場

集落に戻り、散歩をしました。「利島港近道」という看板をたどったら、船が飾ってある公園に出ました。船の展示とともに、昭和初期頃からの島の歴史が書いてありました。利島の男たちの体力と、船乗りの技術は高いものだったそうです。江戸時代は4~5日かけて江戸まで帆船で行っていたそうな。命がけすぎるわ。港ができたのも、そんなに古い話ではないようで、東海汽船が毎日就航するようになったのは昭和60年代のことのようです。飾ってある船がどこまで行くための船だったのかイマイチわからなかったけど、そんなに遠くに行きたいとは思えない大きさだった。

集落には玉砂利で作った壁がいっぱいあるのですが、それはみんなで手で運んで作ったそうで。船の積み荷も自動車がない頃は、人力で運んでいたそうな。あの急坂を。ここの住民は、昔も今も体力があるらしい。

結論:島民に体力があると、観光客にも体力が求められる

ドルフィンスイム

2日目の午前はイルカマリンクラブ利島さんで、ドルフィンスイムです。

ここも、事前にメールで予約していたのですが、返事が「ご予約ありがとうございます。」だけで、予約が取れているのかもわからないし、いつどこに行けというのですか。

利島の色々なホームページ見てもらうとわかるのですが、「アクセス」ってとこ押すと、東京から利島までのアクセスが書いてあるんですよ。利島に着いてからの案内がないのです。

で、ホームページには住所が書かれているんですがね、こっち来たら、どこにも住所が書いてないわけです。住所どころか表札も出てない。そりゃ、そんなんなくても、郵便届きそうだけど。

というわけで、どうしたらいいのか、わからなかったのですが、電話連絡がなんとか取れて、宿まで迎えに来てくれました。

ドルフィンスイムというのは、船でイルカさんの住処まで連れていってくれて、そこでイルカさんと一緒に泳ぐというレクリエーションです。

イメージイルカと楽しむ私。

イルカが泳いでることより、私が泳いでいることのが珍しい。ってくらいに、海で泳いだことなどないのですが。ってか、足が着かない海って入ったことない。シュノーケルだって使ったことないレベル。あ、一応50m平泳ぎくらいはできるよ。まあ、人生何事も経験かなと、やってみました。船長さんもいるんだから、命にかかわることはないだろうと。

小さいな漁船に乗って、たぶん、島の裏側へ向かいます。15分~20分くらいなのかな。船のエンジン音が静かになったところに、水面を見ると。

「イルカー!」

すぐに行けと言われたので、海に入ります。この時点で、シュノーケル加えるの忘れて飛び込んでた。はて、シュノーケルってどう使うのさ。ってか、体をどうしたら、どうなるのかわからない。ここでパニックになったら溺死するぞ。落ち着け、落ち着け。海って、こんなに波荒いのおおおお。うおおおお。息を吸わせてくれええええ。海の中見てる余裕なんてないわあああああああ。あああーこのまま死んでしまうのか。

「あがりましょう」という船長の声が聞こえて、船を探します。なんとかたどり着いて、船に登る。船にあがる腕力も尽きたかと思った。そして、このあと、決して海には入らなかったのでした・・・。だって、もう、死ぬって。イルカ見るためだけに死ぬとか、命無駄にしすぎだろ。船の上からでもイルカ見えるじゃないか(このあとも2回ほど、船上からイルカ見れました)。そして、残りの時間は船酔いとの闘い。朝食はほとんど胃袋には残らず・・・。一緒に乗ってた人の話だと、今日はあんまり近くには見えなかったらしい。

結論:イルカと一緒に泳ぎたかったら、まずは自分が泳げるようになろう。

郷土資料館

村役場に資料館が併設されています。なんと、この島、縄文時代から人が住んでいるそうです。縄文時代の遺跡があるそうなので、まずは資料館で勉強してから遺跡に行きましょう。

遺跡から出土した壷やら、槍の先やら、銅鏡が飾ってありました。遺跡は4カ所くらいあるそうで、縄文時代の遺跡と、弥生時代、古墳時代、平安、鎌倉、室町頃の遺跡もあるそうです。鎌倉時代頃だと、西日本から東京への航路の途中に利島があるみたいで、船トラブルとかで立ち寄ったりしたんですかね。「ああ。船が壊れてしまいました。助けてください。あ、助けてくれるんですか。お礼に積み荷の銅鏡アゲマス。」なんて、想像できます。割と勝手な想像です。飢饉の時に神社に奉納したとかそんなことが書いてありました。

他にも昭和初期からの島の様子が展示してあります。水の確保が難しいので、水不足にはかなり悩まされていたようですね。足りなくなると、船で新島などから水を運んでいたそうです。島に伝わるおとぎ話も、子供が言うこと聞かなかったら翌日生首になってた。とか怖い話で、生活厳しいんだから、言い伝えは守れよ。ってことなのかなと思いました。

結論:どうやってここに縄文人がきたのかは、誰もわからない

大石山遺跡・ケッケイ山遺跡

予備知識を得たので、遺跡を見に行きます

地図によると、ヘリポート近くに大石山遺跡があるはずです。が、ない。何もない。いや、階段だけあった。登ってみたら、草ぼうぼう。入れる気配がない。もう、この島のこの展開には慣れた。たぶん、ケッケイの方もそんなノリだから、もう、探すのはやめよう。

結論:遺跡?そんなの見てもおもしろくないよ?という島民の声が聞こえた

謎鳥。ミニチョコボ。

遺跡をあきらめ、遺跡近くの磯なんとか道の方を走ります。この道は神秘的な椿の森でした。白い幹に生い茂る葉と少し熟した実。聞こえるのはフクロウっぽい「ホーホー」、小鳥の声、鈴虫、セミ、カラス。様々な生き物たちの声です。

そんな森を、自転車で走っていたら、目の前を鳥が「歩いてる」。首をピクピク前後に動かしながら歩いてます。飛ばないようです。近づくとぴょぴょーんと逃げてしまうので、自転車を降りて、しばらく眺めていました。

黄色に黒の模様の羽。大きさは鳩より少し大きいくらい。用水路をえええーい。とパタパタ飛んで渡っている姿がなんともかわいい。さらに、鳴き声も不思議で、「クエーーークックック」のように鳴きます。さらにもう1匹現れて「こっちおいでー」「いやよー」みたいに歩いてます。キュートすぎるうううううう。

結論:何気ない道を楽しめるかが、この島を好きになれるかの分かれ目。

ジェラートが絶品!

集落に戻り、お土産屋さんに行きました。新しい店らしく、このモリヤマさんは地図には載ってません。駐在所の手前くらいにあります。島にある古い商店3つとは雰囲気が違い、イルカ系のオシャレなお店です。

イルカ系って何かというと、過疎になってそうな雰囲気な割には、若いオシャレな人もたくさん見かけるのです。古い島民と、イルカが来るようになってから移住してきた若い人なのかな?と勝手に想像して、勝手に「イルカ系」と命名。

このイルカ系お土産店に、3家族くらいのイルカ系住民が集まっていました。次々とジェラートを注文しており、ジェラートを食べてるんです。「すっごーい。おいしいいいいい。」なんて言ってるから、私も食べてみました。

「おいしいいいいいいい。」

結論:オシャレな店=ジェラート

民宿の夕飯。こんな実家があったらなー

宿のご飯の話です。おかあさん、料理上手なんですね。味噌汁の塩加減の絶妙さっていったら、もう、たまらんのです。ちょっと足りないくらいの絶妙さ。2泊目の夕飯にはお刺身を出してくれました。赤身だったので、マグロかなーと何の気なしに口に入れたら、そのおいしさに衝撃!舌の上に広がるほんのりとした甘さ。磯の香り。まだ命が残っているかのような弾力とやわらかさ。このお母さん、料理の腕前が評価されて、宿に嫁いで来たんかな。と妄想劇場。うちの実家はこんな味じゃないのだけども、実家に帰ってきたなーって感じの幸せな味。

結論:「ぼくの夏休みごっこ」をしにきたんだ。私。

台風が来た

帰る予定は8日だったのですが、7日に突如台風18号が発生しました。台風登場からこっちにくるまで普通1週間くらいあるじゃないですか。そんなもんかと思ってたら、来るの早すぎやあああああ。8日は朝からずっとひどい雨風です。

島に入る放送が、次々と欠航を知らせて行きます。
「こちら、防災利島です。東海汽船利島代理店よりお知らせです。下田行きアゼリアが欠航となりました。」
「こちら、防災利島です。東海汽船利島代理店よりお知らせです。本日のジェットホイルは欠航となりました。」

ああ。欠航ですか。帰れないですね。あー仕方ない。仕事もいけないねー。仕方ないねー。

と思っていましたが、大型客船はがんばって動いてました。揺れる船とか乗りたくないから、がんばらんでええよー。と内心思っていましたが、海の男はがんばるね。荒々しい海に接岸してたけど、Youtubeで見た三宅島の接岸より穏やかだったので、実はまだまだ行けるのかも。利島は台風前はギリギリまで大丈夫だけど、台風後がダメになることが多いそうです。あー帰れちゃったよー。

結論:大型客船は強い

利島で自転車ってオススメですか?

オススメです!

会う人、会う人に、「こんなところで自転車?」「登ったの?」「女子なのに?」と驚かれますが、そこまであり得ない感じじゃないです。

でも、本当に坂しかない。体力使わないと、何も遊ぶことができない島でした。転んでケガしたりで、割と体ボロボロで帰ってきたので、鍼灸院の先生に「旅行行って疲れてどーする。」と言われた。

結論:椿が咲いている頃に、行きたいなー。